らくらく読書 夏目漱石 坊ちゃん(第三章) タイトルバナー

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坊ちゃん 第三章 表紙の画像

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の1ページ目の一文 今まで物理学校で毎日先生先生と呼びつけていたが、先生と呼ぶのと、呼ばれるのは雲泥の差だ。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の2ページ目の一文 先生と大きな声をされると、腹の減った時に丸の内で午砲(どん)を聞いたような気がする。最初の一時間は何だかいい加減にやってしまった。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の3ページ目の一文 おれは江戸っ子で華奢に小作りに出来ているから、どうも高い所へ上がっても押しが利かない。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の4ページ目の一文 最初のうちは、生徒も烟に捲かれてぼんやりしていたから、それ見ろとますます得意になって、べらんめい調を用いてたら、一番前の列の真中に居た、一番強そうな奴が、いきなり起立して先生と云う。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の5ページ目の一文 ただ帰りがけに生徒の一人がちょっとこの問題を解釈をしておくれんかな、もし、と出来そうもない幾何の問題を持って逼ったには冷汗を流した。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の6ページ目の一文 その中に出来ん出来んと云う声が聞える。箆棒(べらぼう)め、先生だって、出来ないのは当り前だ。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の7ページ目の一文 三時になると、受持級の生徒が自分の教室を掃除して報知にくるから検分をするんだそうだ。それから、出席簿を一応調べてようやくお暇が出る。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の8ページ目の一文 山嵐はそうさアハハハと笑ったが、あとから真面目になって、君あまり学校の不平を云うと、いかんぜ。云うなら僕だけに話せ、随分妙な人も居るからなと忠告がましい事を云った。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の9ページ目の一文 亭主が云うには手前は書画骨董がすきで、とうとうこんな商買を内々で始めるようになりました。あなたもお見受け申すところ大分ご風流でいらっしゃるらしい。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の10ページ目の一文 年前ある人の使に帝国ホテルへ行った時は錠前直しと間違えられた事がある。ケットを被って、鎌倉の大仏を見物した時は車屋から親方と云われた。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の11ページ目の一文 このおれを風流人だなどと真面目に云うのはただの曲者じゃない。おれはそんな呑気な隠居のやるような事は嫌いだと云った

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の12ページ目の一文 それから毎日毎日学校へ出ては規則通り働く、毎日毎日帰って来ると主人がお茶を入れましょうと出てくる。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の13ページ目の一文 場のしくじりが生徒にどんな影響を与えて、その影響が校長や教頭にどんな反応を呈するかまるで無頓着であった。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の14ページ目の一文 この学校がいけなければすぐどっかへ行く覚悟でいたから、狸も赤シャツも、ちっとも恐しくはなかった。まして教場の小僧共なんかには愛嬌もお世辞も使う気になれなかった。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の15ページ目の一文 田舎巡りのヘボ絵師じゃあるまいし、そんなものは入らないと云ったら、今度は華山とか何とか云う男の花鳥の掛物をもって来た。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の16ページ目の一文 金があつても買わないんだと、その時は追っ払っちまった。その次には鬼瓦ぐらいな大硯を担ぎ込んだ。これは端渓です、端渓ですと二遍も三遍も端渓がるから、面白半分に端渓た何だいと聞いたら、すぐ講釈を始め出した。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の17ページ目の一文 端渓には上層中層下層とあって、今時のものはみんな上層ですが、これはたしかに中層です、この眼をご覧なさい。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の18ページ目の一文 大町と云う所を散歩していたら郵便局の隣りに蕎麦とかいて、下に東京と注を加えた看板があった。おれは蕎麦が大好きである。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の19ページ目の一文 今日までは数学と骨董で蕎麦を忘れていたが、こうして看板を見ると素通りが出来なくなる。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の20ページ目の一文 ただ麗々と蕎麦の名前をかいて張り付けたねだん付けだけは全く新しい。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の21ページ目の一文 その晩は久し振に蕎麦を食ったので、旨かったから天麩羅を四杯平げた。翌日何の気もなく教場へはいると、黒板一杯ぐらいな大きな字で、天麩羅先生とかいてある。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の22ページ目の一文 十分立って次の教場へ出ると一つ天麩羅四杯なり。但し笑うべからず。と黒板にかいてある。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の23ページ目の一文 邪気ならいっしょに笑ってもいいが、こりゃなんだ。小供の癖に乙に毒気を持ってる。おれはだまって、天麩羅を消して、こんないたずらが面白いか、卑怯な冗談だ。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の24ページ目の一文 それから次の教場へ出たら天麩羅を食うと減らず口が利きたくなるものなりと書いてある。どうも始末に終えない。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の25ページ目の一文 それから三日ばかりは無事であったが、四日目の晩に住田と云う所へ行って団子を食った。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の26ページ目の一文 この住田と云う所は温泉のある町で城下から汽車だと十分ばかり、歩いて三十分で行かれる、料理屋も温泉宿も、公園もある上に遊廓がある。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の27ページ目の一文 二時間目にもきっと何かあると思うと遊廓の団子旨い旨いと書いてある。あきれ返った奴等だ。団子がそれで済んだと思ったら今度は赤手拭と云うのが評判になった。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の28ページ目の一文 おれはこの手拭を行きも帰りも、汽車に乗ってもあるいても、常にぶら下げている。それで生徒がおれの事を赤手拭赤手拭と云うんだそうだ。/

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の29ページ目の一文 湯壺は花崗石を畳み上げて、十五|畳敷ぐらいの広さに仕切ってある。大抵は十三四人|漬ってるがたまには誰も居ない事がある。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の30ページ目の一文 泳ぐのは断念したが、学校へ出てみると、例の通り黒板に湯の中で泳ぐべからずと書いてあるには驚ろいた。何だか生徒全体がおれ一人を探偵しているように思われた。

夏目漱石の坊ちゃん(第三章)の31ページ目の一文 やろうと思った事をやめるようなおれではないが、何でこんな狭苦しい鼻の先がつかえるような所へ来たのかと思うと情なくなった。

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坊ちゃん

坊つちやん』(ぼっちゃん)は、夏目漱石による日本の中編小説。現代表記では『坊っちゃん』。 1906年(明治39年)、『ホトトギス』第九巻第七号(4月1日)の「附録」(別冊ではない)として発表。1907年(明治40年)1月1日発行の『鶉籠(ウズラカゴ)』(春陽堂刊)に収録された。その後は単独で単行本化されているものも多い。 登場する人物の描写が滑稽で、わんぱく坊主のいたずらあり、悪口雑言あり、暴力沙汰あり、痴情のもつれあり、義理人情ありと、他の漱石作品と比べて大衆的であり、漱石の小説の中で最も多くの人に愛読されている作品である。

あらすじ

親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしている坊っちゃんは、家族から疎まれる少年期を過ごす。そんな中、下女のだけは坊っちゃんの曲がったことが大嫌いな性格を(褒められるのをお世辞だろうからと言われてもそれを)気に入り、可愛がってくれていた。

父親と死別後、兄から渡された600円(兄は同時に清に与えるようにと50円を渡した)を学費に東京の物理学校[1]に入学。卒業後8日目、母校の校長の誘いに「行きましょうと即席に返事をした」ことから四国の旧制中学校に数学の教師(月給40円)として赴任した。

そこで教頭の赤シャツ美術教師の野だいこ数学主任の山嵐英語教師のうらなりと出会う。

赴任先で蕎麦屋に入って、天麩羅を4杯頼んだこと、団子を2皿食べたこと、温泉の浴槽で遊泳したことを生徒から冷やかされ、初めての宿直の夜に寄宿生達から手ひどい嫌がらせを受ける。

[1]「坊っちゃん」が物理学校卒業という設定になっているのは、漱石自身が同校の設立者(東京物理学校維持同盟員)である桜井房記・中村恭平と親交が深かったほかに、当時の一般的イメージとして物理学校出身教員が高い評判を得ていたことも関係していると考えられている。

登場人物

坊っちゃん
本編の主人公。語り手で、一人称は地文では「おれ」。会話では目上の人物に対して「わたし」「ぼく」も使う。

清(きよ)
坊っちゃんの家の下女。明治維新で落ちぶれた身分のある家の出身。 家族に疎まれる坊っちゃんを庇い、可愛がっている。何かにつけて「あなたは真っ直ぐで、よいご気性だ」と褒め、坊っちゃん自身は「よい気性なら清以外のものも、もう少し善くしてくれるだろう」と思い、「おれは、お世辞は嫌(きらい)だ」と答えるが、「それだから好いご気性です」と笑顔で褒める。そんな清に対して坊っちゃんは、地文では「自分の力でおれを製造して誇っている様に見える。少々気味がわるかった。」としており、それ以降も清の言葉に「今から考えると馬鹿馬鹿しい」「教育のない婆さんだから仕方がない」などと辛辣に語っている。


坊っちゃんの兄。 坊っちゃん曰く「いやに色が白い」顔立ちが特徴。実業家志望で英語を勉強していた。性格は坊っちゃん曰く「元来女の様な性分で、ずるい」ため坊っちゃんとは仲が良くないが、両親からは可愛がられていた。商業学校卒業後、家財のほとんどを叩き売って金に替え、坊っちゃんに六百円、清に五十円を渡して九州に赴いた後、坊っちゃんとは会っていない。

狸(たぬき)
坊っちゃんの学校の校長。事なかれ主義の優柔不断な人物。奏任官待遇(第四章)。 一説には漱石の愛媛県尋常中学校教師赴任時代の校長だった住田昇がモデルの一人とされている。

山嵐
数学の主任教師。名字は堀田。会津出身。 面構えは坊っちゃん曰く「比叡山の悪僧」。正義感の強い性格で生徒に人望がある。

赤シャツ
教頭。坊っちゃんの学校で唯一の帝大卒の文学士。 表向きは物腰柔らかく穏やかな口調だが陰湿な性格で、坊っちゃんと山嵐から毛嫌いされる。「赤はからだに薬になる」という理由で、通年フランネルの赤いシャツを着用している(第二章)

野だいこ
画学教師。東京出身。赤シャツの腰巾着。名字は吉川。江戸っ子を自称しており、芸人ふうに「…でげす」(…です、の意)と言う。 気に入らないものに陰口を叩いたり、赤シャツなど上司におべっかを使うため、坊っちゃんからは初対面の時に「こんなのが江戸っ子なら、江戸には生まれたくないものだ」と苦々しく思われる。

うらなり
英語教師。名字は古賀。 お人好しで消極的な性格。青白いながらふくれた容姿の持ち主で、子供の頃に同じように青くふくれている人物について清から「あれはうらなりのとうなすばかり食べているからああなった」と聞いたことを思い出した坊っちゃんから「うらなり」と名づけられた。

いか銀
坊っちゃんが山嵐に勧められて最初に下宿した骨董屋。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』坊つちやん(坊ちゃん) (夏目 漱石) 

夏目漱石

夏目 漱石(なつめ そうせき、1867年2月9日〈慶応3年1月5日〉 - 1916年〈大正5年〉12月9日)は、日本の教師・小説家・評論家・英文学者・俳人。本名は夏目 金之助(なつめ きんのすけ)。
俳号は愚陀仏。明治末期から大正初期にかけて活躍し、今日通用する言文一致の現代書き言葉を作った近代日本文学の文豪の一人。
代表作は『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『三四郎』『それから』『こゝろ』『明暗』など。明治の文豪として日本の千円紙幣の肖像にもなった。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』夏目漱石

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夏目漱石
小説作品



坊ちゃん(第一章)

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坊ちゃん(第二章)

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坊ちゃん(第四章)

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