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坊ちゃん(第一章)タイトル

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の1ページ目の一文 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の2ページ目の一文  親類のものから西洋製のナイフを貰って奇麗な刃を日に翳(かざ)して友達に見せていたら、一人が光る事は光るが切れそうもないと云った。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の3ページ目の一文 庭を東へ二十歩に行き尽すと、南上がりにいささかばかりの菜園があって、真中に栗の木が一本立っている。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の4ページ目の一文 これは命より大事な栗だ。実の熟する時分は起き抜けに背戸を出て落ちた奴を拾ってきて学校で食う。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の5ページ目の一文 鉢の開いた頭を、こっちの胸へ宛ててぐいぐい押した拍子に、勘太郎の頭がすべって、おれの袷の袖の中にはいった。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の6ページ目の一文 勘太郎は四つ目垣を半分崩して自分の領分へ真逆様に落ちてぐうと云った。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の7ページ目の一文 古川の持っている田圃の井戸を埋めて尻を持ち込まれた事もある。太い孟宗の節を抜いて深く埋めた中から水が湧き出て

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の8ページ目の一文 母は兄ばかり贔屓にしていた。この兄はやに色が白くって、芝居の真似をして女形になるのが好きだった。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の9ページ目の一文 おれを見る度にこいつはどうせ碌なものにはならないと、おやじが云った。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の10ページ目の一文 口惜しかったから、兄の横っ面を張って大変叱られた。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の11ページ目の一文 兄は実業家になるとか云ってしきりに英語を勉強していた。元来女のような性分で、ずるいから、仲がよくなかった。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の12ページ目の一文 その時はもう仕方がないと観念して先方の云う通り勘当されるつもりでいたら、十年来召し使っている清という下女が、泣きながらおやじに詫りが解けた。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の13ページ目の一文 この下女はもと由緒のあるものだったそうだが、瓦解のときに零落して、つい奉公までするようになったのだと聞いている。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の14ページ目の一文 清は時々台所で人の居ない時に「あなたは真っ直でよいご気性だ」と賞める事が時々あった。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の15ページ目の一文 清はいよいよおれを可愛がった。時々は小供心になぜあんなに可愛がるのかと不審に思った。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の16ページ目の一文 時には鍋焼饂飩さえ買ってくれた。ただ食い物ばかりではない。靴足袋ももらった。鉛筆も貰った、帳面も貰った。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の17ページ目の一文 しばらくすると井戸端でざあざあ音がするから、出てみたら竹の先へ蝦蟇口(がまぐち)の紐を引き懸けたのを水で洗っていた。

そ夏目漱石の坊ちゃん(1)の18ページ目の一文 れから口をあけて壱円札を改めたら茶色になって模様が消えかかっていた。清は火鉢で乾かして、これでいいでしょうと出した。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の19ページ目の一文 兄とは無論仲がよくないけれども兄に隠して清から菓子や色鉛筆を貰いたくはない。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の20ページ目の一文 贔負(ひいき)目は恐ろしいものだ。清はおれをもって将来立身出世して立派なものになると思い込んでいた。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の21ページ目の一文 自分の好きなものは必ずえらい人物になって嫌いなひとはきっと落ち振れるものと信じている。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の22ページ目の一文 それから清はおれがうちでも持って独立したら、一所になる気でいた。どうか置いて下さいと何遍も繰り返して頼んだ。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の23ページ目の一文 麹町ですか麻布ですか、お庭へぶらんこをおこしらえ遊ばせ、西洋間は一つでたくさんですなどと勝手な計画を独りで並べていた。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の24ページ目の一文 兄とは喧嘩をする。清には菓子を貰う、時々賞められる。別に望みもない。これでたくさんだと思っていた。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の25ページ目の一文 その年の四月におれはある私立の中学校を卒業する。六月に兄は商業学校を卒業した。



夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の27ページ目の一文 人しばらく前途の方向のつくまで神田の小川町へ下宿していた。清は十何年居たうちが人手に渡るのを大いに残念がったが、自分のものでないから、仕様がなかった。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の28 ページ目の一文 清も兄の尻にくっ付いて九州下りまで出掛ける気は毛頭なし、と云ってこの時のおれは四畳半の安下宿に籠る

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の29ページ目の一文 今までも清に来るなら来いと二三度勧めたのだが、清はたとい下女奉公はしても年来住み馴れた家の方がいいと云って応じなかった

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の30ページ目の一文 九州へ立つ二日前兄が下宿へ来て金を六百円出してこれを資本にして商買をするなり学資にして勉強をする

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の31ページ目の一文 兄にしては感心なやり方だ、何の六百円ぐらい貰わんでも困りはせんと思ったが、例に似ぬ淡泊な処置が気に入ったから、礼を云って貰っておいた。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の32ページ目の一文 資本などはどうでもいいから、これを学資にして勉強してやろう。六百円を三に割って一年に二百円ずつ使えば三年間は勉強が出来る。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の33ページ目の一文 幸い物理学校の前を通り掛ったら生徒募集の広告が出ていたから、何も縁だと思って<規則書をもらってすぐ入学の手続きをしてしまった。今考えるとこれも親譲りの無鉄砲から起った失策だ。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の34ページ目の一文 卒業してから八日目に校長が呼びに来たから、何か用だろうと思って、出掛けて行ったら、四国辺のある中学校で数学の教師が入る。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の35ページ目の一文 これも親譲りの無鉄砲が祟ったのである 引き受けた以上は赴任せねばならぬ。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の36ページ目の一文 東京以外に踏み出したのは、同級生と一所に鎌倉へ遠足した時ばかりである。今度は鎌倉どころではない。大変な遠くへ行かねばならぬ。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の37ページ目の一文 清の甥というのは存外結構な人である。おれが行くたびに、居りさえすれば、何くれと款待なしてくれた。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の38ページ目の一文 甥は何と思って清の自慢を聞いていたか分らぬ。ただ清は昔風の女だから、自分とおれの関係を封建時代の主従のように考えていた。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の39ページ目の一文 そんなにえらい人をつらまえて、まだ坊っちゃんと呼ぶのはいよいよ馬鹿気ている。おれは単簡に当分うちは持たない。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の40ページ目の一文 越後の笹飴なんて聞いた事もない。第一方角が違う。「おれの行く田舎には笹飴はなさそうだ」と云って聞かした。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の41ページ目の一文 車を並べて停車場へ着いて、プラットフォームの上へ出た時、車へ乗り込んだおれの顔をじっと見て「もうお別れになるかも知れません。随分ご機嫌よう」と小さな声で云った。

夏目漱石の坊ちゃん(第一章)の42ページ目の一文 汽車がよっぽど動き出してから、もう大丈夫だろうと思って、窓から首を出して、振り向いたら、やっぱり立っていた。

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坊ちゃん

坊つちやん』(ぼっちゃん)は、夏目漱石による日本の中編小説。現代表記では『坊っちゃん』。 1906年(明治39年)、『ホトトギス』第九巻第七号(4月1日)の「附録」(別冊ではない)として発表。1907年(明治40年)1月1日発行の『鶉籠(ウズラカゴ)』(春陽堂刊)に収録された。その後は単独で単行本化されているものも多い。 登場する人物の描写が滑稽で、わんぱく坊主のいたずらあり、悪口雑言あり、暴力沙汰あり、痴情のもつれあり、義理人情ありと、他の漱石作品と比べて大衆的であり、漱石の小説の中で最も多くの人に愛読されている作品である。

あらすじ

親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしている坊っちゃんは、家族から疎まれる少年期を過ごす。そんな中、下女のだけは坊っちゃんの曲がったことが大嫌いな性格を(褒められるのをお世辞だろうからと言われてもそれを)気に入り、可愛がってくれていた。

父親と死別後、兄から渡された600円(兄は同時に清に与えるようにと50円を渡した)を学費に東京の
物理学校[1]に入学。卒業後8日目、母校の校長の誘いに「行きましょうと即席に返事をした」ことから
四国の旧制中学校に数学の教師(月給40円)として赴任した。

[1]「坊っちゃん」が物理学校卒業という設定になっているのは、漱石自身が同校の設立者(東京物理学校維持同盟員)である桜井房記・中村恭平と親交が深かったほかに、当時の一般的イメージとして物理学校出身教員が高い評判を得ていたことも関係していると考えられている。

登場人物

坊っちゃん
本編の主人公。語り手で、一人称は地文では「おれ」。会話では目上の人物に対して「わたし」「ぼく」も使う。

清(きよ)
坊っちゃんの家の下女。明治維新で落ちぶれた身分のある家の出身。 家族に疎まれる坊っちゃんを庇い、可愛がっている。何かにつけて「あなたは真っ直ぐで、よいご気性だ」と褒め、坊っちゃん自身は「よい気性なら清以外のものも、もう少し善くしてくれるだろう」と思い、「おれは、お世辞は嫌(きらい)だ」と答えるが、「それだから好いご気性です」と笑顔で褒める。そんな清に対して坊っちゃんは、地文では「自分の力でおれを製造して誇っている様に見える。少々気味がわるかった。」としており、それ以降も清の言葉に「今から考えると馬鹿馬鹿しい」「教育のない婆さんだから仕方がない」などと辛辣に語っている。


坊っちゃんの兄。 坊っちゃん曰く「いやに色が白い」顔立ちが特徴。実業家志望で英語を勉強していた。性格は坊っちゃん曰く「元来女の様な性分で、ずるい」ため坊っちゃんとは仲が良くないが、両親からは可愛がられていた。商業学校卒業後、家財のほとんどを叩き売って金に替え、坊っちゃんに六百円、清に五十円を渡して九州に赴いた後、坊っちゃんとは会っていない。

おやじ
坊っちゃんの父親。 坊っちゃん曰く「何にもせぬ男」。頑固だがえこひいきはしない(ただし坊っちゃんには小遣いはやらず、何かにつけて「貴様はだめだ」と口癖のように叱っていた)。妻が亡くなってから6年後の正月に卒中で亡くなる。


坊っちゃんの母親。兄ばかり贔屓にする。坊っちゃんが台所でトンボ返りをした(この時、竃に胸を打ち付け痛めた)のに腹を立てて、「顔を見たくない」とまで言い放ち、親戚の家に泊まりに行っている間に病死した(第一章)。これには坊っちゃんも、「そんな大病ならもっと大人しくすれば良かった」と後悔している。

勘太郎
坊っちゃんの隣に住んでいた質屋の「山城屋」の倅。十三四。坊っちゃん曰く「弱虫」。坊っちゃんの二つばかり年上。栗を盗もうとした際に坊っちゃんにやられて「ぐう」と言った。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』坊つちやん(坊ちゃん) (夏目 漱石) 

夏目漱石

夏目 漱石(なつめ そうせき、1867年2月9日〈慶応3年1月5日〉 - 1916年〈大正5年〉12月9日)は、日本の教師・小説家・評論家・英文学者・俳人。本名は夏目 金之助(なつめ きんのすけ)。
俳号は愚陀仏。明治末期から大正初期にかけて活躍し、今日通用する言文一致の現代書き言葉を作った近代日本文学の文豪の一人。
代表作は『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『三四郎』『それから』『こゝろ』『明暗』など。明治の文豪として日本の千円紙幣の肖像にもなった。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』夏目漱石

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夏目漱石
小説作品



坊ちゃん(第一章)

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坊ちゃん(第二章)

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坊ちゃん(第四章)

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